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職人芸=匠の技を極めたチック・コリアのTHE VIGIL [Jazz]

真の天才アーチストは常に自己との妥協なきたたかいを続け、革新を求め続ける。ジャズ界の帝王=マイルス・デイビスはその典型であり、彼の音楽は死ぬまで変化し続けた。コルトレーンもしかり。そして、その天才の重圧に耐えきれなかった者は、チャーリー・パーカークリフォード・ブラウンのように夭逝した。
マイルスなきジャズ界の頂点に君臨し続けているのはチック・コリアであるといってもいいであろう。しかし、彼はマイルスやトレーンのような天才ではなかった。彼の音楽は1970年代のRTFから基本的に変化していない。しかし、彼はアコースティックサウンドとエレクトリックサウンドでそれぞれ独自の境地を切り拓き、その芸を極め続けてきた。いってみれば彼の音楽は職人芸=匠の技だ。
THE VIGIL.jpg彼はここ数年、RTFの再結成や様々なデュオ活動など技を磨き極める活動に精力的に取り組んできたが、THE VIGILという作品は久しぶりに若手の気鋭を集めたオリジナルバンドの新作だ。ここで彼は今までの彼の2つの範疇、アコースティックサウンドとエレクトリックサウンドを見事に融合させることに成功させた。彼の演奏は両者の間を自由に行き交い、聴く者に違和感を覚えさせない。
しかし、私が最も気に入った曲は、6番目のPledge for Peaceだ。これだけはメンバーにbの盟友、スタンリー・クラーク、tsにコルトレーンの次男、ラヴィ・コルトレーンを迎えているのだが、この曲だけをいきなり聞かされたら、70年代後半のマッコイ・タイナーエルビン・ジョーンズロン・カーターに天からトレーンが降臨したかと思われる力強い演奏が17分半も繰り広げられる。圧巻だ。ラヴィをゲストに迎えたのでこういう演奏になったのだろうが、チック・コリアの意図は謎だ。
その点も含めて、刺激的な1枚だ。

刮目すべきはベースの森田悠介-桑原あいトリオ・プロジェクト [Jazz]

4535926004567.jpg弱冠20歳のピアニスト、桑原あい。ミシェル・ペトルチアーニ、エスビョルン・スヴェンソン、そして上原ひろみを彷彿とさせながらも、瑞々しい感性と確かなテクニックに裏づけされたアグレッシヴで独創的な世界を表現。また全て桑原が書き下ろすオリジナル楽曲は、自由で情緒的、時にはアヴァンギャルドな、今までのジャズ・ピアノ・トリオの枠には収まらない楽曲が並ぶ。共同プロデューサーとして名を連ねるベーシストの森田悠介は、エレキ・ベースのイマジネーション豊かに超絶テクニックで縦横無尽に弾き倒す!
というコピーを見、デモを聴いて「なるほど」と期待を抱きながらも、どうしても連想してしまったのは森田真奈美。デビュー作のColorsでHiromiの後継者か!?と期待したものの、次作でがっかりさせられ、さらには報道ステーションのオープニングテーマI amのパクリ疑惑(http://www.dailymotion.com/video/x9dwed_yyy-yyyyy-pv_fun)で完全に興味を失った。
それでも桑原あいなる新人のデビュー作(from here to there)は一聴に価すると思ってタワレコに予約しておいたのだが、やっと昨日届いた。そして何度か聴いてみたが、期待したほどの感動は来なかった。しかし、確かに20歳にしてはなかなかの才能。ピアノテクニックだけでなく、コンポジション、アレンジメントの実力もなかなか。思ったほどHiromi的でないことが、かえってオリジナリティを感じさせる。(思えばManami Moritaの1stアルバムに欺されたのも、それがあまりにHiromi的だった故かもしれない。)
しかし、それだけだったら私はわざわざこのブログのJazzカテゴリーで取り上げない。ここで取り上げるのは、原則として私が魂を揺さぶられるほど感動した作品である。じゃ、何に感動したかというと、彼女のコ・プロデューサーであるエレクトリックベース担当の森田悠介(24歳)のベーステクニックにである。寡聞にして、私は彼ほどのテクニシャンを日本人エレベプレーヤーに知らない。全曲にわたり彼の果たしている役割が大きい。「引き立て役」としての範疇をはみ出している。
だから私は、桑原あい個人というよりも、「桑原あいトリオ・プロジェクト」という、実質的に桑原あいと森田悠介からなるこのコンボに、今後も注目していきたい。

ベースでジミヘンを弾く! [Jazz]

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日曜日に姪の結婚式で東京に出たついでに、CDの半額レンタルクーポンが来ていたので、久しぶりにTSUTAYAの西五反田店に行って何枚か借りてきた(この店はJAZZのCDがどこよりも豊富!)。そのうちの1枚がブライアン・ブロンバーグのプレイズ・ジミ・ヘンドリックスというアルバム。2年以上前の作品だが、当時JAZZ専門誌の新譜レビューで読んだのを覚えていた。
ブライアン・ブロンバーグという50過ぎの中年ベーシストのアルバムを聴くのも初めてだし、ジミヘンは高校時代に見たウッドストックの映画での「星条旗よ永遠なれ」の演奏が強烈に脳裡に焼き付いているとはいえ、彼の死後輸入盤のLPを1枚買って聴いただけに過ぎない。でも、聴いた瞬間、はまってしまった。ベースとドラムのデュオとのことだが、多重録音なのは理解できるものの、どう聞いてもギターの音としか聞こえない強烈な音が全編に流れている。不審に思って解説を読むと、ベースにディストーションをかけるとこういう音が出るとかで、彼の得意技のひとつだそうだ。
まあ、ガンガンのロックだけれど、ブライアン・ブロンバーグはあらゆる種類のベースをいとも簡単に弾きこなしていて舌を巻く。こんな凄いベーシストを今まで知らなかったとは……

リー・コニッツ参加のECM2枚★★★★★ [Jazz]


がいい。バードランドでのスタンダードナンバーのライブ盤。ブラッド・メルドーを除いて超ベテランたちによるいぶし銀の演奏だ。それにしてもメルドーは、パット・メセニーとの共演にしろ、共演ないしはサイドマンとして参加するアルバムではいい演奏を聴かせてくれるのに、私的にはリーダーアルバムが好きになれないのは何故か?
ところで、同時購入したケニー・ホイーラーの15年前の録音

もいい。偶然、こちらにもリー・コニッツが参加していて、いいアルトサックスを聴かせてくれる。こちらは全曲ケニー・ホイーラーのオリジナルで、ドラムレスの変則編成だが、どちらもECMらしいセンスあふれる名演だ。
★★★★★

期待裏切られたManami MoritaのFOR YOU [Jazz]

インディーズ・デビュー曲で「デビューアルバムでこれほど魅了させるのは、ただ者でない」と期待を抱かせたManami Moritaの第2作を発売早々さっそく聴いてみた。
そしてガッカリさせられた。前作と同じメンバーにパーカッションを加え、基本的に同じコンセプトで制作された本作であるが、何かが違う!?
何度も聴き、そして2つの作品を聴き比べてみた。デビュー作には最初の"My little Blue Sweetie"や名曲"My Favorite Things"など印象的な曲をちりばめ、全体に強弱、陰と陽のバランスがうまくとれて、斬新なピアノプレイと相まって新鮮な驚きを与えてくれたが、本作はそれらを前提として「プラスα」を当然期待させただけに、どうしても拍子抜けの感がぬぐえない。たとえは悪いが、"Return to Forever"の次に"Light as a Feather"を聴いた時の落胆にも似て……。(だが、天才チック・コリアはそこに名曲"Spain"を入れることを忘れなかった!)
前作と比べても全体として単調だし、2作を続けて聴けば一続きのManami Worldとして聴けるのだが、2つを切り離せば明らかに本作は前作に劣る。わけても致命的なのは、カーペンターズの名曲"Yesterday Once More"のカバーがなんとも凡庸でアレンジともいえないコピーに終わっていること。前作の"My Favorite Things"が上原ひろみの"Beyond Standard"でのそれと比肩しうるほどオリジナリティにあふれていたのと比べて、見る影もない。
私の見立てが間違っていなければ、彼女はいつかは皆をうならせる名曲を発表してくれるだろうし、メジャーデビューも果たしてくれるだろう。だがそれはまだまだ先のことのようで、そこへ至るには厳しい修行を積まねばならないようだ。

もうひとつのForever [Jazz]

FOREVERといえば、もよかった。前作"Runnin' Wild"でセクステット編成を試みた彼女であったが、私はこのアルバム、好きになれなかった。
再びトリオに戻った本作は、叙情的でメロディアスな作品を並べ、澤野工房時代の原点に立ち返った作品といえよう。当時からの千尋ファンとしては嬉しい一品である。
だから、これはこれとして十分に楽しめるのだが、問題は今後、原点からさらにどう飛躍を遂げていくかだ。来年デビュー10周年を迎える彼女が、次作でどんな変身を遂げるか? そこに、単なる「世界的に活躍する一日本人女性ジャズピアニスト」を超えた存在になれるかどうか、真価が問われているといっても過言ではないだろう。

"FOREVER"は永遠なり! [Jazz]

HMVでポイント3倍セールをやっていたので、輸入盤で安く買うことのできない数枚をまとめ買いした。
なかでもお得感が高かったのがだ。
2枚組のこのアルバム、1枚目は70年代の第2期RTFからギターのアル・ディメオラを除いた3人がアコースティックトリオで昨年ツアーを繰り広げたライブ版で、2枚目はその3人に第2期RTFの最初のギタリスト、ビル・コナーズやバイオリンのジャン=リュック・ポンティなどが加わったスタジオ録音版。どちらもいいが、私的には1枚目が秀逸のできだ。
チック・コリア、スタンリー・クラーク、レニー・ホワイトの3人によるアコースティックジャズは、1980年代初めに、フレディー・ハバードとジョー・ヘンダーソンを加えたカルテットによるがあるが、このプロジェクトはレニーのプロデュースによるストレート・アヘッドなジャズを展開していたのに対して、本作はスタンダードやチックのオリジナル作品を中心に取り上げた「チック・コリア=アコースティックトリオ」の演奏になっている。
中でも感涙ものは、スタンリーの超絶テクニックの生ベースがたっぷり聞けること。この3人ならではの息の合った演奏が展開される。どの曲もいいが、ビル・エバンスの名曲Waitz for Debbyは最高だ。
それにしても古稀目前のチック・コリア、年を全然感じさせず、相変わらず意気軒昂だ。

Lenny White "anomaly" [Jazz]


伝説のReturn To Foreverの復活リターンズ~リユニオン・ライヴや、スタンリー・クラークトリオジャズ・イン・ザ・ガーデン [12 inch Analog]など、ここのところ活躍めざましいレニー・ホワイトのフュージョンアルバムだ。ドラマーのリーダーアルバムというと、ともするとドラムが目立ちすぎてかえって興ざめしてしまうものが少なくないが、本作はレニーのドラミングとともにハードで完成度の高いフュージョンミュージックを堪能できる。それもひとえに、レニーのドラマーとしての才能はもとより、彼の卓越したプロデューサーとしての能力に負うところが大きいと思う。古くはRTFを核にフレディ・ハバードとジョー・ヘンダーソンを加えたストレート・アヘッドな作品Griffith Park Collection、また上述したスタンリー・クラークトリオや、自身は参加していないが上原ひろみの加わっているスタンリー・クラークバンドスタンリー・クラーク・バンド フィーチャリング 上原ひろみ等でも、レニー・ホワイトはプロデュスを受け持っていて、どれもすばらしい作品に仕上がっているのをみても、彼のプロデューサーとしての力量がうかがえよう。本作では、個人的にはアンセムの演奏が高揚感にあふれ最も感動した。[るんるん][るんるん][るんるん]

Keith×Charlie×standard=Good! [Jazz]

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2ヶ月も前にHMVの輸入盤マルチバイセールで3点購入したが、予約品のひと品が発売延期を重ねた末に“入手困難”となり、残りの2点がようやく今日届いた。
そのひとつがKeith Jarrett / Charlie Hadenの“Jasmine”。キース・ジャレットがデビューした頃よく組んでいた2人だが、実に31年ぶりの共演だそうだ(2007年録音)。今や大御所となった2人だが、期待にたがわないデュオを演じている。とくに、暖かな人間味のあふれ出るチャーリー・ヘイデンのベースを私は好きだが、ピアノとのデュオとしては97年のケニー・バロンとの“Night and The City”と並ぶ傑作といっていい[るんるん]
また、キース・ジャレットの作品としては、私的には1999年の“The Melody At Night, With You”以来の★★★★★。そこでも弾いていた“Don't Ever Leave Me”を最後に演奏しているのが印象的だ。

Carl Perkinsというピアニスト[2010年03月13日(土)] [Jazz]

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[るんるん]
図書館の新着CDにCarl Perkinsというピアニストのイントロデューシングというアルバムがあったので借りてみた。1955~56年の録音だが、知らずに聴けば現代の演奏かと聴きまがうほどモダンだ(決してポストモダンとはいえないが、十分過ぎるほどモダンだ)。1955~56年といえば、[演劇]マイルスが"Round About Midnight"を吹き込んだ年代。それと比べても驚くほど新しい。そして心に馴染む演奏を展開している。何度聴いても聴き飽きない。

彼は1959年、30歳の年に[車(セダン)]事故で夭逝し、残したリーダーアルバムはこれ1枚だという。60~70年代のジャスシーンに生きていたら、果たしてどんな演奏を展開していたのだろうか?